「脅すために」性的暴行を撮影、事件が浮き彫りにした犯罪手口
大阪府で発生した集団性的暴行事件で、容疑者らが被害女性をスマートフォンで撮影したとして追送検されました。この行為は、単なる性的暴行の記録にとどまらず、被害者をさらに追い詰め、その後の人生を大きく破壊しかねない極めて悪質な行為です。
事件の概要
産経新聞によると面識のない20代女性に集団で性的暴行を加えるなどしたとして男3人が逮捕された事件で、うち2人が暴行を受ける女性をスマートフォンで撮影したとして、大阪府警捜査1課は2日、性的姿態撮影処罰法違反容疑などで大阪市東成区の無職、山下高志被告(44)=不同意性交致傷罪などで起訴=と奈良県葛城市の専門学校生、渡辺哲理(てつり)こと李博倫(リー・ボールン)被告(23)=中国籍、同罪などで起訴=を追送検したと発表した。
同課によると、山下容疑者は「女性は撮影に同意していたと思った」と容疑を一部否認し、李容疑者は「女性を脅すために撮影した」と認めているという。
送検容疑は6月中旬、府内の集合住宅で、女性に性的暴行を加える様子をスマホで撮影したとしている。
また、府警は、前夜にもわいせつ目的で同じ集合住宅のエレベーターホールに入ったとする邸宅侵入容疑でも両容疑者を追送検した。集合住宅はオートロックだが、住人が通過する際にエントランスに入りこむ「共連れ」と呼ばれる手口を用いていたという。
邸宅侵入容疑について、李容疑者は容疑を認め、「(別の)女性を暴行するために入ったが、この日はできなかった」と供述する一方、山下容疑者は容疑を否認しているという。
府警によると、両容疑者ら3人は不特定の女性に性的暴行を加える目的でインターネット上の「掲示板サイト」で知り合ったとみられる。
デジタル時代に進化する性暴力:「性的姿態撮影処罰法」の意義
今回の事件で容疑者が逮捕された「性的姿態撮影処罰法」は、性的暴行と一体化した撮影行為を取り締まるための重要な法律です。この法律は、2023年の刑法改正で成立した不同意性交等罪と共に、同意のない性的な撮影行為を厳しく罰することを目的としています。容疑者の一人が「女性を脅すために撮影した」と供述したように、この行為は被害者の尊厳を著しく傷つけ、支配する目的で行われるケースが少なくありません。
巧妙化する侵入手法:防犯カメラを欺く「共連れ」
容疑者らがオートロックの集合住宅に侵入した手口も、注目すべき点です。彼らは、住人が建物に入る際に一緒に入り込む「共連れ」という手法を使っていました。この手口は、一見すると不審に見えにくいことから、防犯カメラやセキュリティシステムを欺くために、居住侵入などの犯罪で頻繁に用いられています。この事実は、現代の犯罪者が、いかに巧妙に防犯対策の弱点をついてくるかを示しています。(出典:マンション管理会社や防犯専門家の見解)
私たち一人ひとりが、こうした犯罪の存在を認識し、自衛策について意識を高めることが、安全な社会を守るための第一歩となるでしょう。