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ベトナム人技能実習生によるドラッグストア窃盗事件

福岡県警は7月までに、2月18、20日に北九州市などのドラッグストア3店で化粧品など計114点(計約53万円相当)を盗んだ疑いで、ベトナム人の男4人を窃盗容疑で逮捕した。同18~20日に県内の別の11店でも同様の事件があり、4人は関与を認めているという。県警は被害総額が約180万円に上るとみている。

7月までに起訴された3人の公判などによると、4人は技能実習生として働いていたが逃亡。茨城県などでそれぞれ生活する中、SNSで知り合った指示役らから「福岡で盗みの仕事」「1日1万円」と誘われた。指示役からはベトナムのSNS「ザロ」で盗む商品を指定されていたという。

 4人は盗品を大阪府内へ発送。他の差出人からの荷物もあり、宅配伝票の品名は「菓子」や「本」と偽られていた。県警は指示役が各地でグループを作って万引きさせていたとみている。
出典:読売新聞

なぜ彼らは「窃盗」を選んだのか?

今回の窃盗事件で逮捕されたベトナム人の男4人は、かつて技能実習生として日本で働いていましたが、いずれも職場から逃亡していました。技能実習制度とは、開発途上国の人材に日本の技術を伝える国際貢献を目的とした制度ですが、近年は劣悪な労働環境や賃金未払いなどが原因で失踪する実習生が後を絶ちません。法務省のデータによれば、2022年の技能実習生の失踪者数は7,175人に上り、このうちベトナム人が約4,800人と全体の7割近くを占めています。彼らは逃亡後、在留資格を失い、合法的な職に就くことが困難になるため、生活苦に陥りやすい状況にあります。そうした中で、SNSを通じて指示役から「福岡で盗みの仕事」「1日1万円」という魅力的な誘いを受け、犯罪に手を染めてしまったと考えられます。

制度の見直しと国際連携の強化

今回の事件を受けて、再発防止に向けた多角的な対策が急務となります。まず、技能実習制度自体の見直しは不可避です。政府は現在、技能実習制度を廃止し、人材確保を目的とした「育成就労制度」への移行を進めていますが、その中で外国人労働者の人権保護や転籍の自由を保障し、失踪者を減らす抜本的な改革が求められます。法務省出入国在留管理庁は、外国人材の受入れに関する新たな制度設計を急いでおり、2023年7月には特定技能外国人の数は約17.3万人に達しています。
また、警察当局は、SNSを活用した国際的な犯罪組織の実態解明と摘発に向け、国際的な捜査協力を強化する必要があります。SNSプラットフォーム側も、犯罪に利用されるアカウントや情報の早期発見・削除といった対策を講じる責任があります。私たちは、外国人材を単なる労働力としてではなく、共生社会の一員として尊重し、その人権と生活を守るための環境整備を進めることで、犯罪の温床となる問題を根本から解決していく必要があります。

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