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JICA田中理事長が語る「ホームタウン構想」撤回の真相 国際協力と日本の国益

 国際協力機構(JICA)の田中明彦理事長が8日までに共同通信のインタビューに応じ、アフリカとの交流を推進する「ホームタウン」構想の撤回について「移民導入や犯罪増加など客観的に裏打ちのない言説と結び付いてしまい、大変残念だ」と語った。政府開発援助(ODA)など国際協力を巡り「日本への信頼を向上させ、長期的に国益増進に貢献してきた」と意義を訴えた。
 ODAは1954年に始まり、70年以上の歴史を持つ。田中氏は、日本が先の大戦で失った信頼を回復し、国際社会に復帰するために国際協力を積み上げる必要があったと指摘。「今では東南アジアの有識者調査で日本が最も信頼できる国だと言われる」と話した。
 日本の協力はインフラ整備と人材育成を柱としていると強調し「各国の自立的発展の基盤になる」と指摘。具体例として、日本の支援で開業したインドネシアの都市高速鉄道(MRT)を挙げ、関係者の研修によって時間に正確な運営が可能になったとした。 
出典:https://news.livedoor.com/article/detail/29739173/ 

「海外の信頼」より「地元の安心」が先だ JICA構想撤回が問う国民との対話

 国際協力機構(JICA)の田中明彦理事長は、アフリカとの交流構想である「ホームタウン」の撤回について、「客観的に裏打ちのない言説」と結びついた結果だと遺憾の意を表明しました。JICAとしては国際協力の意義を訴えたいのかもしれませんが、多くの国民が感じるのは、「海外への信頼回復もいいが、地元の住民が不安を感じているなら、まずそちらの信頼が先ではないか」という素朴な疑問です。この構想の撤回は、国際貢献の現場と、地元住民の間に存在する深い溝を浮き彫りにしています。

「不安」を放置してきた責任

田中理事長は、構想が「移民導入や犯罪増加」といった根拠のない言説(事実に基づかない主張)と結びついたことを残念がっています。しかし、問題の根源は、そうした**「不安」を放置し、解消するための対話を尽くしてこなかった**行政側にもあるのではないでしょうか。

JICAが推進する国際協力は、インフラ整備や人材育成といった分野で日本の技術を伝え、国際的な信頼を得る上で不可欠です。しかし、その受け入れが国内、特に地域社会で行われる際、住民からは「治安は大丈夫か」「生活環境はどうなるのか」といった当然の懸念が生じます。ある調査では、外国人との共生に「不安を感じる」と答えた国民は約7割にも上ります。こうした不安が払拭されないまま、構想だけが先行すれば、それがネガティブな言説に結びつくのは当然のことです。まずは、国際的な事業を推進する前に、地元住民の不安を解消し、理解を深めるための努力が欠けていたと言わざるを得ません。

信頼回復は「地元」から始まる

今回の「ホームタウン構想」の撤回は、JICAだけでなく、国際的な事業を推進するすべての行政機関にとって、大きな教訓となるべきです。国際協力という大義名分を掲げるだけでなく、地域社会に対しては、その事業がもたらすメリットとリスクを正直に伝え、懸念を解消する徹底的な対話が必要です。

地域の住民に「自分たちが日本の国際貢献を支えている」という意識を持ってもらうこと。そして、「安心・安全」が確保された上で、国際交流を進めること。海外への信頼地元への信頼は、決して相反するものではありません。むしろ、地元住民の信頼こそが、国際貢献を継続するための最も強固な基盤となるのです。

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