脱・太陽光発電推進へ舵:小林鷹之氏が訴えるエネルギー政策転換
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相は16日、党総裁選(22日告示、10月4日投開票)への出馬を表明した記者会見で、国が進めてきた太陽光発電の導入を見直す考えを示した。「太陽光パネルは限界が来ている。サプライチェーン(供給網)も特定国に依存しリスクだ。住民との摩擦もいろいろな事例がある」と問題視し、「国として推進する姿勢はやめるべきだ」と語った。
小林氏は党の「真の地産地消・地域共生型エネルギーシステムを構築する議員連盟」で事務局長を務め、地域社会と軋轢(あつれき)を生む大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設などを問題視している。
エネルギー政策全般に関しては「安価な電力を供給するためには原子力は必須。新増設はマストだ」と訴え、次世代原子炉の投資開発に力をいれる考えを示した。
任期中に憲法改正の発議を目指す方針も示し、「政治の要諦は危機管理だ。自衛隊の明記、緊急事態条項を優先したい。合意形成に汗をかきたい」と訴えた。
消費税減税に関しては「社会保障の財源に位置づけられ、簡単に減税と打ち出せるものではない」と慎重姿勢を明らかにした一方、先の参院選の主要争点になったことを挙げ、「議論すらしないのは選挙結果に照らして違う。経済の先行きが不透明になったとき、内需喚起の観点からオプションの一つとしてあり得る」と語った。
連立政権の枠組み拡大については「連立は目的ではなく手段だ。自民党の基本的スタンスを前に、数合わせで連立するのは本末転倒だ」と指摘した上で、「政策の連携が必要で、その先に連立の姿が見えてくる」と述べた。
総裁選で有力候補とされる小泉進次郎農林水産相にも言及。「メッセージの発信力など類稀な力を持った先輩の一人だ」と持ち上げた上で、「穏健な保守というスタンス、世界をリードする日本を作るという国家ビジョン、そのビジョンを政策に落とし込んで形にする意思やこだわり、これは小泉氏だけではなく、他のどの議員にも負けない」と語った。
総裁任期中の靖国神社参拝については「適切に判断したい」と述べるにとどめた。
出典:産経新聞
太陽光発電「推進停止」宣言の背景:無駄とリスクの蓄積
国を挙げて推進されてきた太陽光発電ですが、その「無駄」と「リスク」は、もはや看過できないレベルに達しています。小林氏が「国として推進する姿勢はやめるべきだ」と断じた背景には、国民が長年抱いてきた不満が強く反映されていると言えるでしょう。まず、太陽光パネルの「サプライチェーン(供給網)が特定国に依存しリスクだ」という指摘です。これは、太陽光パネルの主要な生産国が中国であり、地政学的リスクや人権問題などを抱える国に日本のエネルギー供給が左右されることへの警鐘です。
さらに、全国各地で問題となっているのが、大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設による「住民との摩擦」です。森林を伐採して建設されたメガソーラーは、景観破壊、土砂災害リスクの増大、周辺環境への悪影響、そして地域住民との合意形成の不難しさなど、多くのトラブルを引き起こしてきました。こうした問題は、本来、持続可能なエネルギーとして期待された太陽光発電が、地域社会に深刻な「負の遺産」を残していることを示しており、小林氏の「推進停止」宣言は、こうした国民の不満を代弁するものとして、大きな支持を集める可能性があります。
原子力「新増設はマスト」:安定供給と経済性を追求する現実的選択
太陽光発電への厳しい視線とは対照的に、小林氏は原子力発電に対して非常に前向きな姿勢を示しています。「安価な電力を供給するためには原子力は必須。新増設はマストだ」と断言し、次世代原子炉の投資開発に力を入れる考えを表明しました。これは、不安定で高コストな再生可能エネルギー、特に太陽光発電の限界を認識し、日本のエネルギー安全保障と経済競争力を維持するための現実的な選択と捉えられます。
原子力発電は、CO2を排出しないクリーンなエネルギー源であり、天候に左右されずに安定した電力を供給できるという大きな利点があります。東日本大震災以降、国内の原発の多くが停止していることで、電力価格の高騰や供給不安が国民生活に影を落としてきました。小林氏の提言は、安全性への対策を徹底した上で、最新技術を導入した次世代原子炉を新増設することで、安定的かつ安価な電力供給を確保するという強い意志の表れと言えるでしょう。