兵庫県議が辞職へ 政務活動費180万円を不適切使用
兵庫県議会の自民党会派に所属する議員が、県庁職員に面会したと虚偽の申請を行い、ホテルの宿泊代に政務活動費を不適切に使用していたとして、議員辞職願を提出したことがわかりました。兵庫県議会に辞職願を提出したのは、たつの市・揖保郡選挙区選出で、自民党会派に所属する無所属の松井重樹議員です(71)。
議会関係者などによりますと、松井氏は複数回にわたって翌日に県庁職員と面会したと虚偽の申請をして神戸市内のホテルの宿泊代に政務活動費を不適切に使用していたということです。松井氏は、過去5年間にホテルの宿泊代として使用した政務活動費およそ180万円を会派に返却する意向を示し、一部はすでに返却したということです。松井氏はNHKの取材に対し「一部の宿泊代を不適切に政務活動費として使用したことは事実だ。自分の心の中に隙があったと反省している。大変申し訳ない」とコメントしています。県議会の各会派は今後、辞職願の取り扱いなどについて協議することにしています。
出典:https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20250923/2020029878.html
「県庁職員と面会した」の名を借りた詐欺行為
今回、松井議員が不正に使用した政務活動費(議員の調査研究などに使われる公金)は、約180万円にも上ります。その手口は、翌日に県庁職員と面会したという虚偽の理由で、ホテル代を公金として請求するという単純なものです。
このような不正は、兵庫県だけの問題ではありません。全国各地の地方議会で、同様の政務活動費の不適切使用が後を絶ちません。例えば、ある調査では、全国の政務活動費の使途公開状況を比較したところ、8割以上の自治体で不十分な点が指摘されています。 チェック機能が甘いため、一部の議員が公私混同を繰り返し、国民の税金を食い物にしているのが現状です。
制度の甘さが生む「犯罪」の温床
なぜ、このような不正が簡単に行えてしまうのでしょうか。その背景には、政務活動費の監視体制の甘さがあります。多くの議会では、領収書を添付するだけで、その内容が本当に公的な活動に使われたかどうかを厳しくチェックする仕組みがありません。議員同士の監視も期待できず、市民の目が届きにくい場所で行われるため、不正の温床となりやすいのです。
また、「自分の心に隙があった」というコメントは、政治家としての倫理観の欠如を物語っています。これは、政治家個人が「つい手を出してしまった」というレベルの話ではありません。国民の税金を扱う公職にある人間として、絶対に許されるべきではない、明らかな犯罪行為です。このような行為が「心に隙があった」の一言で済まされるなら、私たちは政治家を信用することができなくなってしまいます。